生命は塩なしでは生きていけない
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私たちは遥か昔、海で生まれ、進化を繰り返してきました。そのため、人間の血液には塩分が含まれていますね。
血液に溶け込んだ塩分は身体の中でさまざまな働きを担っていますが、人間の身体では塩を作ることができないため、積極的に摂取する必要があります。
これは人間に限ったことではありません。例えば肉食動物は草食動物を捕食する際、草食動物の血液から塩分を摂取することができます。
草食動物はというと、岩塩などを直接舐めることで塩分を補給しています。動物はこれらのことを本能的に知っているそうです。
「食生活を変えて免疫力を上げたい!」「体質改善したい!」という方には、ワタクシ免疫かあさんは間違いなく「まずは塩を変えて、減塩はしないで」と言います。塩はそれくらい大切なものです。
しかし、近年何かと悪者にされている塩。
「減塩」という言葉、あらゆる場面で見たり聞いたりしますよね。
厚生労働省が推奨する1日の食塩摂取量の目標は、男性7.5g未満、女性6.5g未満、高血圧の予防や治療のためには6グラム未満となっています。
2020年度に日本人の食事摂取基準が5年ぶりに改訂され、以前と比べて目標量が1日あたり0.5g引き下げられました。
減塩は必要?本当に塩が高血圧の原因なのか
高血圧には2種類ある
高血圧には、他の疾患や薬剤の副作用が原因で起こる二次性高血圧と、原因のはっきりしない本態性高血圧があります。
本態性高血圧・・・一時性高血圧とも言います。これは、簡単にいうと「原因がはっきりしない高血圧」。日本人の高血圧患者の85〜90%が本能性高血圧です。
考えられる原因としては、体質、肥満、過度の飲酒、運動不足、ストレス、喫煙、食塩の慢性的摂取などが挙げられます。
二次性高血圧・・・高血圧患者の10〜15%を占めていると言われています。
腎臓病やホルモン異常、薬の副作用で起こると考えられ、これらの病気が改善されると高血圧も治ります。
このように、必ずしも塩が高血圧の原因になっているとは考えにくいのです。
0.9%。これは何の数値でしょう??
人間の体液にはおよそ0.9%の塩が含まれています。0.9%と言いますと、500mlのペットボトルに水をたっぷりと、塩小さじ1弱を混ぜた液体と同じになります。
一度やってみてください。“結構しょっぱいな〜”と思うかもしれません。
しかし、人間(動物も)の身体は本能的に身体に必要な量の塩分を知っています。「しょっぱいな」と思ったら、その時の身体には塩が足りているため塩分量を減らす、反対に「あまり味がしない」と感じたら、塩を足せば良いのです。
塩が生命維持に欠かせない理由
生命は、細胞内でナトリウムとカリウムのバランスを保つことでその活動を維持しています。
細胞内液ではカリウムが、細胞外液ではナトリウム濃度が高くなっていて、細胞の浸透圧を一定に保つ役割を担っています。これによって神経細胞や心筋の電気細胞の伝達を助けているのです。
このように、健康な身体を維持するためには「ちょうどいい塩梅(塩だけに)」を保つことが重要です。
例えばナトリウムを摂りすぎると体液のナトリウムを調節する作用が働いて血管中の水分を増やします。それにより血管を圧迫されると、血圧が高くなります。
これが、「塩を摂りすぎると高血圧になる」と言われる所以かもしれません。
反対に血液中のナトリウムが減少しすぎると、生命の危機を感じた腎臓が血圧を上げるホルモンを分泌し、血圧が高くなる仕組みになっています。
天然塩(自然塩)でミネラルも一緒に摂ろう
後で詳しく説明しますが、天然塩・自然塩・天日塩と呼ばれる塩は、その約80%がナトリウム、残りの20%ほどはマグネシウムやナトリウム、カルシウム、カリウムなどのミネラルで構成されています。
一方、「食卓塩」などの精製塩は、ナトリウムが99.5%以上のものを指します。つまり、海の塩に入っているべきミネラルが、ほとんど除去されてしまっています。
人間、動物の細胞にとってナトリウムとカリウムは生きる上で非常に大切なものですから、天然の塩の方がより身体の機能を整えるために必要だということがわかりますね。
食生活を変えて免疫力を上げたい!という方には、私は間違いなく「普段使いの塩を「食卓塩」ではなく「天然塩(自然塩)」に変えて」と言います。それくらい大切なものです。
細胞内のナトリウムとカリウムのバランスが保てていると、細胞の伝達がうまくいくため、もちろん免疫力も高くなります。まだ精製塩を使っている人は、天然塩に変えてみてください
塩を摂りすぎた時は
このような時は、カリウムを多く含む野菜をたくさん摂りましょう!カリウムを多く摂取すると、腎臓がナトリウムを体外に排出してくれるのです。野菜中心の食事は高血圧を予防してくれます。
免疫かあさんのカリウムたっぷり味噌汁
カリウムを多く含む食品は海藻類、いも類、豆類、切り干し大根などです。
顆粒のだしには「酵母エキス」などの人工的な旨味が入っているので、おすすめできません。出来るだけ「天然のだし」を取ることも、免疫アップのコツです。
「忙しくてだしを取る時間がない」という方は、市販のだしパックでも無添加のものがあります。表示をよく確かめて購入し、使ってみてください。
材料 | |
昆布(だし用) | 5センチ角×1枚 |
煮干し(だし用) | 10尾 |
水 | 600mL |
切り干し大根 | 10gくらい(お好みで) |
さつまいも | 100gくらい(お好みで) |
大豆水煮 | お好みで |
味噌 | 大さじ1〜1.5 |
下準備
・だしをとる(だしの取り方はこちらを参照してください)。
・切り干し大根を水につけて戻し、食べやすい大きさに切っておく。
・さつまいもは食べやすく切り、水にさらしてアク抜きをしておく。
1.だし汁にさつまいも、切り干し大根を入れて火にかけ、さつまいもが柔らかくなるまで煮る。
2.大豆水煮を入れ、少ししたら火を止める。
3.味噌を溶き入れる
結局のところ、どんな塩を買えばいいの?
塩の原料
・海水・・・海水塩は海水を汲み、昔からの様々な製法で塩だけを取り出したものです。
・岩塩・湖塩・・・世界で一番多く消費されているのが岩塩です。もともと海だった場所が大地になり、長い年月をかけて地中で結晶した塩を言います。ナトリウムが多めです。
・藻塩・・・日本の塩作りの原点と言われています。海藻に海水をかけ流したり、煮詰めたりするなどして抽出されます。
このように、どの原料も元を辿れば「海水」ということになります。
〜塩の種類いろいろ〜
天然塩、自然塩
天然塩はいちばんおすすめです。普段使いの塩はぜひこちらにしてくださいね。
近年よく耳にする言葉ですが、実は正式な定義はありません。
主に「昔ながらの製法(塩田や塩釜を用いて)で抽出された塩」や「原料そのままの塩(何も添加していない)」「海水の水分を飛ばしただけのもの」という意味で使われることが多いです。
これらの塩には、マグネシウムやナトリウム、カルシウム、カリウムなどのミネラルが多く含まれており、しょっぱいだけでなくまろやかだったり、少し甘みがあったり、製法や採塩場所によって様々な味が楽しめます。
天然塩はどこを見るとわかるか
抑えるポイントは2つだけです。塩を買うときに、裏側に記載の原材料などの表示を見てください。
原材料名:海水
工程:天日・平釜・立釜のどれかのもの
原材料名の中に「海水」+α(塩化マグネシウムやにがり)などの表記があるものは、再製加工塩です。
工程の中に「溶解」という表記があるものも再製加工塩です。「溶解」とは、海外から輸入した塩を一旦溶かして異物や不純物を取り除いたり、粒子の形状や大きさを整えて使いやすくしたりするなどの目的で行われる工程です。
免疫かあさんのおすすめ塩
海の精
3kg 5,855円(1袋約1,951円)+送料無料
日本伝統の製塩法でじっくり作った昔なつかしい伝統の塩!ただ塩辛いだけでなく、ほのかな甘さや旨さ、コクやキレがあります。
皇帝塩
1kg 2,376+送料
製薬会社が厳選した100%天然・無添加・安心安全な完全天日の塩。身体に必要なミネラルがバランスよく含まれ、人体のあらゆる働きを活性化させてくれます。粒は大きめ、味はまろやか。
その他の塩
精製塩
よくある「食卓塩」が精製塩です。野菜の塩もみなどに使うのがおすすめです。
オーストラリアやメキシコから輸入した原塩を溶かして精製したもので、塩化ナトリウムが99.5%以上の高純度のものを指します。人間にとって必要なマグネシウムやナトリウム、カルシウム、カリウムなどのミネラルはほとんど入っていません。イオン交換膜式という電気分解方法で人工的に塩を抽出した塩で、安価に手に入ります。
イオン交換膜製法塩
精製塩と同じような製造過程でできた塩です。
再製加工塩
オーストラリアやメキシコから輸入した「天日塩」にニガリなどを溶かし、再び結晶化させて作った塩です。にがりが入っているため、マグネシウムが摂れます。
調味塩
食塩にハーブやスパイスが入ったものです。
まとめ
いかがでしたか?日本の塩作りは、かつて「塩専売制度(1971年頃〜)」という決まりによって、全国でたったの7社しか製造を許可されなくなりました。それも、「イオン交換膜法」での製造のみです。
しかし、1997年にこの制度が廃止され、「化学処理をしていない昔ながらの製法で塩を製造・販売したい!」という有志の人々が集まり、各地で塩の製造が始まりました。
今では日本各地で様々な製法を用いて、天然塩が製造されています。色々な塩を少しずつキッチンに置いて、食材や料理によって変化をつけてみるのも楽しいかもしれません。
「塩は生命のみなもと。元気のみなもと。」ですね^^
参考文献:塩の文明誌 人と環境をめぐる5000年(NHK BOOKS)
塩の本(柴田書店)
日本と世界の塩の図鑑(あさ出版)